~映画とカルチャー~

アメリカで映画を観る 第1回 マンハッタンとは違う価値観の複合文化施設BAM

今、面白い映画、面白い人が集まっているのは何処なのか? アメリカの映画上映事情レポート第1回は、NYブルックリンより、地元密着型のアートセンターBAMをご紹介します。

文:平井伊都子

2009-09-18 UP

BAM1

高感度なブルックリナイトの誇り

 今年8月には是枝裕和監督のレトロスペクティブが行なわれ、およそ10日間にわたってテレビ・ドキュメンタリーから、今秋北米公開される『歩いても 歩いても(英題:Still Walking)』までが特集上映された。特に是枝監督による初期のドキュメンタリーはアメリカはおろか日本でも映画館で上映されることは稀で、BAMがこのレトロスペクティブ上映に懸けた情熱が伺える。初日には是枝監督によるティーチ・インも行なわれ、映画を観る目の肥えたブルックリナイトたち(もちろんニューヨーカーも多かったが)が会場を埋めた。

 ちなみに、9月12日現在ローズ・シネマで公開されている映画は、『イングロリアス・バスターズ』(クエンティン・タランティーノ監督)、『Taking Woodstock』(アン・リー監督、ウッドストック音楽祭を影で支えた男の実話)、『ファッションが教えてくれること』(R.J.カトラー監督、アメリカ版ヴォーグの名物編集長、アナ・ウィンターのドキュメンタリー)の3本。

 例えばマンハッタンにある映画館はブロックバスター映画やメジャースタジオ製作の映画を上映するシネコンかインディペンデント系作品を上映するミニシアター、そして名画座とはっきりとキャラクターが分かれている。その点、ここBAMでは大作と呼べる『イングロリアス・バスターズ』とドキュメンタリー、アート系作品を並べることにより、「良い映画を地元市民に届ける」という使命を果たしているのだろう。観客の年齢構成も学生から老夫婦(これはニューヨーク全体に言えることだが、どんな映画でも高齢者の観客がとても多い)まで幅広い。「マンハッタンとは違う価値観を持つ映画館」としてローズ・シネマ、そしてBAMが高感度なブルックリナイトの誇りになっていることがよくわかる。

bamlogo

Brooklyn Academy of Music

30 Lafayette Avenue, Brooklyn, NY 11217(ローズ・シネマ)

スクリーン数 4

席数 103、155、272、222

2008年の主な上映作品
【新作映画】『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』『ペルセポリス』『パラノイドパーク』『シャイン・ア・ライト』『扉をたたく人』『インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国』『セックス・アンド・ザ・シティ』『モンゴル』
【特集上映】アフリカン・ディアスポラ映画祭、J・ホバーマン批評家30周年セレクション、マノエル・ド・オリヴェイラ特集、内田吐夢特集ジョン・タトゥーロ特集 サンダンス・インスティチュート特集、撮影監督エド・ラックマン特集
【オペラのライブ上映】『マクベス』、『ラ・ボエーム』『トリスタンとイゾルデ』『ヘンゼルとグレーテル』

入場料 一般 11ドル BAMシネマクラブ会員 7ドル シニア・学生 8ドル

2008年の来館者数 550,000人(ローズ・シネマ以外の施設への入場者含む)

公式サイト http://www.bam.org/
施設やプログラム案内の他、収支報告書などもダウンロード可能


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