~映画とカルチャー~

アメリカで映画を観る 第1回 マンハッタンとは違う価値観の複合文化施設BAM

今、面白い映画、面白い人が集まっているのは何処なのか? アメリカの映画上映事情レポート第1回は、NYブルックリンより、地元密着型のアートセンターBAMをご紹介します。

文:平井伊都子

2009-09-18 UP

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Brooklyn Academy of Arts (BAM)
 
 映画『イカとクジラ』でインテリ夫妻が住んでいたパーク・スロープや、故ヒース・レジャーと恋人のミシェル・ウィリアムズが住んでいたキャロル・ガーデンなど、マンハッタンの対岸にあるブルックリンには、人気沸騰中のエリアが数多くある。マンハッタンの家賃高騰が最もな理由だが、マンハッタンに留まらざるを得ない理由が減ってきたことも起因しているのだろう。

 ブルックリンの文化活動を支えるNPO施設、BAM(Brooklyn Academy of Music)は前述のふたつのエリアにほど近いところにある。マンハッタンからも地下鉄で15分程度、多くの路線が交差するターミナル駅にあるためアクセスもいい。BAMの歴史は古く、1861年に地元ブルックリンの交響楽団のコンサート・ホールが前身となっている。1906年にはオペラ劇場が付設され、1960年代には現在の場所へ移転している。ローズ・シネマと呼ばれる映画館が最も新しく、1997年に「マンハッタンまで出向かなくてもインディペンデント系映画が観られる映画館」として誕生した。

ひとりの俳優の舞台公演と特集上映が同時に

 BAMは演劇やダンス、音楽などの公演を行なうシアター、オペラを上演する劇場、リハーサル・スタジオそしてローズ・シネマからなる。複合施設だけあり、双方の連携が良く取れているのもBAMがニューヨークにおける文化施設としてユニークな点だ。

 例えば、この9月から上演されるジュエリエット・ビノシュとアクラム・カーンによる『イン・アイ』に併せ、「ランデブー・ウィズ・ジュリエット・ビノシュ」という特集上映が行なわれる。特集初日に上映される『PARIS』にはビノシュと監督のセドリック・クラピッシュが駆けつけQ&Aセッションを行なうなど、アーティスト稼働も多い。同時期にはロバート・レッドフォードの俳優として、また活動家としての功績を讃える特集上映も企画されている。もちろん、レッドフォードも丸一日かけて映画上映とQ&Aセッションに付き合う。この秋はビノシュの他にも、イザベル・ユペール(11月に上演される『QUARTETT』)やケイト・ブランシェット(同じく11月に上演されるテネシー・ウィリアムズの『欲望という名の電車』に出演)らが控えており、彼女たちの特集上映も企画されることだろう。

 BAMにはオペラ・シアターもあるが、リンカーン・センターのメトロポリタン・オペラで上演されている演目をHD映像で生中継するプログラムもあり、売り切れてしまった公演を高音質・高画質で鑑賞することができる。


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