~国内外の映画祭レポートなど~

『KARAOKE』と『EARTH』:カンヌ映画祭からシンガポール経由でヴェネチア国際映画祭へ(前編)

サウンドデザイナー森永泰弘。カンヌ、シンガポール、そしてヴェネチアへと到る旅の記録。

文|森永泰弘

2009-09-18 UP

5月

監督週間に参加するために渡仏。到着してみるとメインの会場付近は、人、人、人。週末の渋谷ぐらいの人出。上映会場は非常に多く、映画を観たくてもどこへ行けばよいのかわからない。右も左もわからずうろうろしているうちに時間が過ぎてしまった、というのが率直なところです。

R0011955aR0011956b『KARAOKE』の上映に関しては、音に携わるものとして興味深い体験ができました。上映場所となったPalais Stéphanie Théâtre Croisetteは音響の設備が非常に良く、音の質感までしっかりと伝わってくるんです。

『KARAOKE』では通常の劇映画と同様、音の構成には非常に気を配っていますが、それと同じくらい音質――これは自分にとって重要な問題なんですが――に注意を払っています。

スクリーンの外から聴こえてくる様々に重なり合った音響、カラオケバーの中から聴こえてくる言葉の距離感、カラオケの歌声の質感、物音の響き方など、撮影現場でのダイレクト録音(モノラルマイクで、ある対象へ忠実に録音すること)とフィールド録音(様々なマイク(ステレオマイク等)で記録する空間を意識した録音方法)を――それとアフレコも多いのですが――繊細に処理したのですが、これらがきちんと上映時に再現されていたのには本当にびっくりしました。

前日のテスト上映をふまえた上で公式上映を迎えた訳ですが、やはり観客がいる特別な空間は別なものです。音も画もさらに引き締まっている感じがしました。個人的に、いち観客としてこの作品をこの会場で鑑賞できた経験は大きかったと感じています。
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カンヌでは一つの出会いがありました。
シンガポールから同じ監督週間部門『HERE』で来仏していたホー•ツーニェンと話す機会があり、意気投合、一緒に何かをやろうということになり、帰国後もメールのやりとりを続けていました。

7月

来年2010年3月から始まるDain Saidというマレーシアの映画作家の長編撮影にむけてミーティングを行うということで、東南アジアにしばらく滞在。シンガポールにも4時間ほど(!)立ち寄って、ホー君の新プロジェクト『EARTH』という、イタリアの画家カラヴァッジオを中心にバロック絵画をワンショットで表現した43分の無声映画を見せてもらい、「これは何かできる!」と思い立ち、コラボレーションが始まりました。当初はもっと長い期間をかけて意見交換をし、作品を仕上げる予定でしたが、帰国後に連絡がきてヴェネチア国際映画祭で上映されることが決定との一報。急遽バタバタしながら意見交換をし、最終的にはライブコンサートという形でこの作品を仕上げることにしたのです。


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